熊本市南区の「てらしま歯科医院」で院長を務める寺島貴史から、審美歯科の受診を検討されている皆様にお伝えしたいメッセージをインタビュー形式でご紹介します。
特に意識した瞬間はありませんが、もっとも大きかったのは父が歯医者だったことでしょうか。父は私が小さい頃から熊本市内で歯医者をやっており、私は自宅の1階にある歯医者で遊ぶのが好きでした。よくドリルを使って遊んだりしていましたし、小学生のときは「歯」をテーマに自由研究を発表したりもしましたね。それだけ私にとっては、歯医者が身近な存在だったんだと思います。
私は今、その父（ちなみに入れ歯が得意です）とともに診療を行っています。親子2代で歯医者を運営すると、治療方針などをめぐってケンカするというケースも多いようですが、当院では今のところ仲良くやれています（笑）。父親も私も口腔外科を専門としていたので話が合うこと、「患者様を第一に考えて診療する」という方向性が一致していること、そして、35年以上も地域の方に頼られている父を純粋にすごいなと思っていることがその理由かもしれません。
よく言われることですが、「歯医者嫌い」の方、多いですね（笑）。でも、歯医者が好きな人なんてほとんどいないということはよくわかっているつもりです。「歯をキレイにしていないと落ち着かない」という患者様も中にはいますが、ほとんどの方は「ほうって置いたからきっと悪くなっているだろうな、注射は嫌だな、何回 も通わなければならないだろうな」 などなど、多くの不安を抱えていらっしゃ ると思います。
私が歯科医師としていつも意識しているのは、「歯医者嫌いを歯医者嫌いのまま終わらせない」ということです。「結果にこだわる」といえばわかりやすいでしょうか。嫌いな歯医者に勇気を出して来てくださったのに、完全に治らなかったり、思った結果が得られなかったりしたら悲しいじゃないですか？ 治療してご飯がおいしくなった、よく噛めるようになった、見た目がキレイになった、という結果が得られてはじめて、「これから自分の歯を大事にしよう」「次は病気にならないように頑張ろう」と思っていただけるようになるんです。そういった「きっかけづくりになるような治療」に努めています。
きっかけづくりという意味では、予防歯科がまさに、自分の歯に興味を持ってもらうためのきっかけをつくるための場所だと考えています。当院でも予防歯科という看板を掲げてはいますが、予防は歯科医院ではなくご自宅でするもの。言ってしまえば、月1回歯医者に通ってクリーニングを受けても、本当の意味では予防にはならないんですよね。予防歯科で歯に対する意識を高めていただくこと、そしてそれをご自宅での予防につなげていただくというのが正しいあり方だと私は思っています。
「意識を高める」と言いましたが、予防歯科ではご自身の歯に愛着を持ってもらうことを目的にしています。治療前のカウンセリングでかかる時間やお金についてもしっかり説明し、治療後のカウンセリングで「治療、大変だったでしょ？ だからもう虫歯にならないでくださいね！」とお伝えしているのは、歯を自分のものとして、愛着を持って大切に扱ってほしいという想いがあるからなんです。私は1本1本の歯に対して「この子」と呼んでいるのですが、それを聞いて「大切にしよう」と思ってもらえたらそれだけで嬉しいですし、ありがたいことにそう思ってくださるようになった患者様も多くいらっしゃいます。
審美歯科治療というと「すべて自費で行うもの」というイメージがあるかもしれません。「機能の回復」が目的の保険診療に比べて自費診療ではさまざまな治療法や素材を選ぶことができますが、保険でもキレイな見た目を実現することはできるんです。両者の大きな違いは、「自費のほうがキレイな状態を長持ちさせられる」ということくらいでしょうか。
治療をやり直す必要がないので、患者様の将来のお口の健康まで考えると自費診療をおすすめしたくなるのですが、私は保険診療でも自費診療でも、患者様が満足してくれればそれが一番だと思っています。「保険の範囲内でどれだけキレイにできるか」というのは歯科医師の技量が問われる部分でもあるので、腕が鳴りますね。
一番やっていてよかったと思えるのは、キレイになったと喜ばれたときですね。「口を開けて笑えるようになりました」「口を手で隠さないようになりました」「口元に自信が持てるようになりました」と面と向かっていわれて、嬉しくない人なんていないでしょう（笑）。昔の日本人には「口元を隠してつつましく笑う」という文化がありましたが、今は時代が違いますし、「どうせ歯を治療するなら見た目もキレイにしたい」という方が増えてきています。ニコッと笑えるようになると口角が上がってシワが寄りにくくなるので、より笑顔が素敵に見えるんですよね。素敵な笑顔で喜んでいただける瞬間が、何よりのやりがいです。
キレイにして初めてわかることかもしれませんが、歯がキレイになると歯を大事にしたくなります。これは、生涯にわたって歯の健康を考えるうえで、審美歯科が担っている重要な役割のひとつといえるかもしれません。審美歯科は「歯の見た目をキレイにすること」が目的だと思われがちですが、それだけではないんですよね。
今は父が長く続けてきた歯科医院を継いでまだ日が浅く、長く続けることの難しさとそこを引き継ぐ大変さを毎日実感しています。人の体が相手ですので、思ったようにいかないこともありますが、患者様を第一に考えた診療にこだわって、「すべての患者様にできるだけ満足して帰ってもらえるような歯医者」になりたいと思っています。
